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日記です。ありとあらゆる怪文書がここに

FMIC7743.log.exeのほぼ日記
べんりなショートカット:青年と少女、伝道師とかみさま(ゲートウェイ)
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長い。

日常描写の断片みたいな感じのものを書いた。

「…美味しいか?ならよかった、こんな料理でよかったらいくらでも食え。おかわりはたくさんあるから。」
唐突に家出少女が転がりこんできた。
知り合いの家を転々として、知り合いの知り合い…つまり俺の所に来たそうだ。
小さいカバン一つに化粧道具と着替えと財布だけ入れての家出、か…
無茶しやがって…まだ15、6だろ?知り合いの知り合いとはいえ、知らない男の所に来るとは、相当な度胸の持ち主か、ただの馬鹿か。
化粧っ気はあるが、野菜炒めを頬張る顔は幼さを残していた。

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「ん、もういいか?じゃあこれ片付けておくからな。お前はシャワーでも浴びてろ。…大丈夫だって、覗いたりしないから」
食器を洗いながら、これからどうするか考える。
あの子をソファベッドで寝かせて俺は床に寝るしかないか…。それが普通だよな。
奥の部屋から妙に脳天気な音楽が響く。テレビつけっぱなしだったな、と頭の隅で思う。
いかにもあの子くらいの年頃の女の子が好きそうな、歌って踊るアイドルグループの曲だ。毎日街角で流されてりゃ、物覚えの悪い俺でも流石に覚える。

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「…俺は床で寝るからな、お前もさっさと寝ろよ?」
化粧を落としたあの子は、年相応の顔つきになっていた。パジャマと言っても学校の校章が小さく刺繍されたTシャツと、紺色のジャージだ。やっぱりまだ子供なんだな。
電気の紐を引いて、床に寝転ぶ。積み上げた漫画を枕にしてぼんやりと天井を見上げていると、紐の先につけた蓄光プラスチックが蛍のように揺れていた。
しばらくしたら、ソファのほうから小さい寝息が聞こえてきた。

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浅い夢を何度か見て、何度めかの覚醒の時にふと横に暖かい気配を感じた。
そちらを向くと、あの子がいた。いつの間にここまで来たんだ?
寝惚けているのか、俺を兄だと勘違いしてまとわりつく。
……下手に起こさないように、抱きかかえて元のソファまで運ぶ。驚くほど軽くて、髪の毛からふわりと俺の使ってるシャンプーのにおいがした。

 おにいさん、いっしょにねてくださる?

俺の腕を引っ張る。かなり強い力だ。
迂濶に逆らえなくて、あの子の隣で横になる。
それで安心したのか、再び眠りはじめた。…幼い寝顔を見ながら、なんでこの子が家出なんてしたのかと思いを巡らせる。きっと色々な事情があるんだろうな。

  • -

翌日の昼、俺が起きるとあの子は置き手紙を残していなくなっていた。
キャラクターの絵がついたかわいらしいピンクの便箋に、青いインクのペンで書かれた丸っこい文字が並んでいる。
内容は一宿一飯のお礼と、「おにいさんの夢を見たので、おにいさんに会いにおうちに帰ります。」の文字…俺の中に兄を見たんだろうか。
そんな事はどうでもよくて、便箋を4つ折りにしてテーブルの上に置いて、テレビのスイッチを付けた。
カラフルな音楽と眠くなるような微笑が飛び込んでくる。そのままテレビを垂れ流しながら漫画を読んでいたら、夕方になっていた。
画面をふと見るとニュースキャスターが真面目な顔で原稿を読みあげていた。
少女売春、一家惨殺、鉄道事故
酷い話ばかりなのはいつもの事だ。あの子がそれらの話の渦中にならない事を願って、夕食の材料を買うためにテレビを消して家を出た。
夏の日曜の夕暮れ、橙色に染まった空気の中を歩く。
今日の夕食は何がいいか、あの子はちゃんと家に帰れたのか、そういう事を考えていた。
あー、夕食は昨日の野菜炒めを卵でとじて、あとは…唐揚げでいいか。二人分作っても結構余ったしな。

珍しくエログロ無し。