唐突に思いついた。128歳の80年前ですよ。
俺がまだ今よりもっと若くて、分別がなくて、人間らしくなかった頃の話だ
その時はまだ親も生きていたから割と今よりはいい家に住んでいた 洋風の家だったから珍しい目で見られていたんだが、流石に吸血鬼の家族が住んでいたとは思われていなかっただろうな
でも今とはあまり変わらない姿だったな 服装とかは時代に合わせたものだったが
今よりももっと人間に偽装して暮らしていたが、夜ごとに人を襲っていたことに変わりはない 今と違って夜は暗かったしな
あいつは…俺の家の近所に住んでいて、その当時には若干珍しい、洋服を着ていた女だった
黒い髪の毛をボブカットにして、水色のスカートをはいていた、所謂モダンガールという感じの奴だったな
…あろうことがそいつは俺に惚れていたらしい
人間に惚れられた事なんてなかったからどうしていいか戸惑ったんだが…
まあ、手紙をくれたら適当に返していたし、声をかけられたら返事くらいはしていた
あるとき、そいつを俺の家に呼び出してみた
窓の外を蝙蝠がたくさん飛んでいた夕暮れだったな
そいつは、ひどく赤面していて…まあ俺から呼び出したりした事もなかったし、当たり前なんだろうが
手を繋いでやっただけで目を背けるくらい純粋な子だった
しばらく話をしていて、そいつの名前とか、好きなものとか、女学生時代の話とか、そういう事を聞いていて、俺の話になったから適当に今48歳なんですよとか言ったら「若いですね」とか言われたりとかして…まあ、本当に他愛のない会話しかしなかったな、多分
帰ろうとしたときに床に押し倒して、血を吸って、…そしたら、そいつは泣いていた
痛かったからとか怖かったからとかじゃなく、 …俺が人間じゃないと知って、恐れを感じたんだろ
とりあえずその時は俺の母親に頼んで、傷を消して記憶をいじって家に帰したんだが……
どうも記憶のいじりかたがまずかったらしく、あとからそいつの親に「娘を傷物にされた」とか言われたりした まあ違う意味では傷がついたことに変わりはないんだが
その後?…引っ越したから、そいつとは会ってないし…まあ今はもう死んでいるだろ 確かその時20歳くらいだったはずだから
俺に喰われた奴は人間のままなんだからな
人間なんて惚れちゃ駄目だ、俺みたいな奴は特に …そいつを色々と駄目にしてしまう
時代考証とかは適当ですよ。
なんでタイトルで「初恋」と打ち消しているのかというと牢獄Pの「初恋」を思い出したんだけどそこまで酷い内容じゃないし(あの曲は…)、
第一初恋といえば今気になっているトワイライト的なものと被るので却下。