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べんりなショートカット:青年と少女、伝道師とかみさま(ゲートウェイ)
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壊れてしまった、そのあと。

壊れる過程を飛ばしたので何がしたいのかいまいちよくわからない超短編
「血と肉」のコウとリサのある種のアナザーエンド。いつかの未来、狂ってしまったコウとそれを看とるリサ。
精神ぶっ壊れ系とかが駄目な人は見ないほうがよいです。
昨日ハイクに載せた(http://h.hatena.ne.jp/fm7743/9234103192914807464)のはこれの試作版。

「うぁー…」
「おなか、すきましたか?」
「……ん」
そっと指を差し出すと、小さな吸血鬼はかぷりと噛みつき、傷口から滲む血を舐めている。
子供の姿なので、噛みついた傷口はそんなに深くならない。
「あぅ…」
「もうおなかいっぱいですか?」
「ぁ…う」
「…そうですか。」
頭をなでると、気持ちよさそうに目を細める。
こちらから触ったりすると反応を返すが、自分からはほとんどなにもしない。
もう、壊れてしまったから。
「…コウ、さん。」
かつてその男の名前だった言葉を呼ぶ。今は何の意味もなさない言葉。
「……うぁ?」
その名前の持ち主だった子供は、よくわからない、という顔で答える。答える?いや、答えにはなっていない。
「…いえ、なんでもないです。」
かつてそう呼ばれた男の、頭をなでてやる。
こころは壊れてしまっても、感覚は残っている。頭をなでると喜ぶのだ。これを、喜んでいると言ってよいのかは知らないけれど。


記憶の中に残っている、かつての姿と声を反芻する。
自分がいつか壊れてしまうことに気が付いてしまった時に言っていた事。
――俺の心が壊れてしまったら、お前が殺してくれ…
「いえ、そんな残酷な事、私にできるわけないじゃないですか…。嫌な事言わないでくださいよ…。」
――俺が狂っても、俺の事、嫌いになったりするなよな…?
「なりませんよ、あなたは手のかかる方でしたから。少しだけ手間が増えるだけです。」
――お前は今、幸せか…?
「…幸せ、かもしれませんね。」


「でも、たまには名前呼んでくださいよ…。いつものように、不敵な笑顔で、リサって。私はいま一人なんですよ…?あの子たちも、いなくなってしまったし…寂しい、ですよ…。」
気丈な魔女の、ふと見せる弱さ。長く生きていても人間らしい所は残っている。
「……さ?」
「え?」
「り…さ?」
「私の事、わかるんですか?」
「わか、る…?」
それは、言葉をおうむ返しにしているだけ。
「…そんなわけないですよね…。はい、私はリサですよ。」
「りさ、です…よ。」
「あなたは、コウ、です。」
泣きながら、かつての名前を呼ぶ。
「…こ ぅ。」
おそらく意味もわからず答えているだけ。でも、少し嬉しくなった。
こうして、壊れてしまった不死身の化物と、それを看とる不老の魔女は、いつまでもゆるやかに、おだやかに、はたから見れば幸せなのか不幸せなのかわからない日常を過ごしました。
「"壊れるまで、覚えてるよ"…確かこれもあなたの聴いていた曲でしたね。私は覚えていますよ、いつまでも。…さて、今日は何をしましょうか?」


      おわり

( ´-`)。o 0 (これが泣きながら書いてカミナギの発言に異様に引っ掛かって爆笑したりした原因の超短編です…)
( ´-`)。o 0 (ぶっちゃけこれはやりすぎだろ…)
( ´-`)。o 0 (試作版とは名前を表記するかどうかとか細かい所が色々変わっている。)
( ´-`)。o 0 (「壊れるまで覚えてるよ」は牢獄Pの「出口の無い子宮」。)
( ´-`)。o 0 (軌道修正。長く生きすぎて発狂するという感じ。)