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FMIC7743.log.exeのほぼ日記
べんりなショートカット:青年と少女、伝道師とかみさま(ゲートウェイ)
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Halloween

コウとリサのほのぼのしてない日常。
「ん、ただいま…」
時計は23時50分。もう少しで日付も変わる時刻に戻ってきた男。
黒いマントを羽織り手にはカボチャのランタンとお菓子を大量に詰め込んだ袋。どこかのハロウィンパーティを満喫してきたようだ。
「あら、早かったですね。」
迎える少女もまた、古典的な魔女の格好―彼女の場合は仮装ではなく正装だが―で、ソファでくつろいでいた。
「…今日はもう腹いっぱいだが…ああ、これ洗っといてくれ」
上着をハンガーにかけ、ネクタイをほどいて、点々と血痕のついた白いブラウスを脱いで彼女に渡す。
「はい、わかりました。
…あの、パウンドケーキ食べますか?作っておいたんですが…。」
「だから、俺は満腹だって…聞こえなかったのか?」
少し不機嫌な顔になる。
少女は申し訳なさそうにして、
「…ごめんなさい。余計な事言って…。」
渡された洗濯物を持って背を向ける。
男のほうはなんだかきまりの悪そうな具合で、
「……いや、一口だけ味見してみるかな」
小さく呟いた。
「…じゃあ、持ってきますね。」
少女に笑顔が戻る。早速台所に向かい、白い皿にオレンジ色のパウンドケーキを一切れ載せて持ってきた。
「はい、どうぞ。」
男は差し出された一切れをつまみあげ、口に押し込み、囎嚼して、飲み込み、
「…ん、相変わらず美味い 甘すぎなくていい感じだ」
少し笑った。
「あ、ありがとうございます。」
「…でも、もう少しなんか欲しいな…」
「あ、じゃあもう一切れ持ってきま」
言いかけた少女の手をとって、細い指先に軽く咬みつく。
飴を舐るようにして滲むものを舐めとる男。
「……まったく…お腹いっぱいなんじゃありませんでしたか?」
「デザートは別腹、って奴だ」
指先から口を離し、意地悪い笑みで答える。
「とにかく、美味しかった
…ハッピーハロウィン、リサ」
少女の唇に自分の指先を沿え、口ずさむように呟いた。
時計は23時54分。もう少しで日付も変わる。