美味しいですよね。
という話ではなく、血と肉的(何故か血のほう)なものです。
柘榴。石榴とも書く。
夏に鮮紅色の花をつけ、秋に果実をつける樹。固い果皮を割ると、中には種を包んだ果肉の粒が詰まっている。
エストロゲンが含まれ、美容によいとされるが根拠はない。
「食べにくいが、慣れると美味しいぞ?」
一本の樹の下に座っている男は、粒を一つずつ毟りながら口に運び、果実を割ったものをこちらにも勧める。
それを一粒口にして、妙な違和感を覚えた。
柘榴はこんな味ではない。もっと甘酸っぱい実のはずだ。…この実は、口の中を怪我した時の味に似ている。
慌てて吐き出すと、勧めてきた男が
「ん…口に合わないか?」
と訪ねる。口に合わないどころか、不味くて食べられない。
「…やっぱり、普通の人間には合わないか
ひとから生える柘榴の樹 その果実は肉の味
――残さず全部食え、美味しいから、な?」
翌年の初夏。
たくさんの樹が鮮紅色の花をつけている。
秋になれば、また実をつけるだろう。
・わしは柘榴が好きなんですよ。
・ホラー的にしたかったがまだ甘い。
・「一粒食べれば一ヶ月 冥府で暮らす事となる/四粒食べて四ヶ月 娘は冥府に捕われる/その間地上は冬になり 全てが全て死に絶える」というのを思い付いたけど合わないので未使用。